平安の昔の、ある夜… | |
都に近い 北山の奥が 奇怪に光った。 人々は、これを ひかりものと呼び 不吉な出来事の 前兆ではないかと おそれた。 |
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それから後、 都には災難が相次ぎ、 また、世紀末の教えや 神の裁きを説く者も現れ、 人々の不安は 深まるばかりであった。 |
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そして、 ひかりものから1ヵ月後、 1人の女が殺された。 朝顔(あさがお) 帝の血縁であり、 美貌と才知の女。 自邸に近い 桂川の河原で、 犯された上 心臓をえぐられる。 |
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この事件を重く見た帝は、 表向きの捜査とは別に、 2人の信頼できる者に 調査を命じた。 1人は帝の腹心の部下 左大臣。 |
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もう1人は、 帝の実の弟である、 源氏中将。 源氏中将。 光源氏の君とアダ名される 都第一の貴公子である。 |
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