レビュー

ゲーム熟成期の戸惑い
 HOT・BのちょっとHなAVG。アダルト物のAVGにも物語性が求められ始めた頃の作品。
 AVG部分の難易度は高くなく、さほどの行き詰まりもなく話は進行していく。RPG風味に味付けされた戦闘シーンが緊迫感を与え、ストーリーは一本道だが平坦でないものを感じさせる。一部がフラグ立てゲームになってしまっているのはコマンド選択式AVGの泣き所。

 一時流行していた密教をテーマに据え、戦闘シーンをRPG風にしたりHシーンを挿入してみたりという工夫が見られるが、ごちゃ混ぜになっているだけで消化しきれていない感がある。いろいろな要素に手を出しすぎて、焦点がぼやけてしまったようだ。
 残念ながら、ゲームとしての斬新さはない。
 当時はゲーム業界も熟成期に入り、新たな発想のゲームを生み出すことが難しくなっていた。既存のゲームと似たシステムを使っては『マネ』扱いされる。限られた容量と描画能力の中で、各社はアイデアを競っていたのである。

 ストーリーはしっかりと考えられている。
 雰囲気を重視し過ぎているのか、登場人物達の存在感が薄い。規模のわりに登場人物が多すぎるせいもある。テーマが重くホラータッチでアダルト向けなのだから、もっと重厚にしてもよかった。密教や伝奇を題材にした当時の青年向けマンガ(孔雀王や3×3EYES等)が軽薄・安易なタッチを味付けにしていたので、その影響を受けてしまっているのかもしれない。しかしマンガとゲームでは、感じるテンポが違いすぎた。
 マンガではなく、このまま小説に仕立てるならば遜色ないレベルに達している。

 当作品は、時代がらB級ゲームの域を出ないが、ゲームバランスはよく、丁寧に作りこまれている。画像はしっかり書き込まれており、ゲームとしてのテンポは及第点以上。スタッフの力の入れ方が伺える。比較的新しい時代の作品でもあるので、安心してプレイできる。

 EGGで購入・プレイするには十分に満足な作品。素直なコマンド選択式AVGがプレイしたければお勧め。


オープニング

以下ネタバレ注意
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