レビュー

RPGの進んだ方向性
 光画堂スタジオの、PC8801後期のRPG。
 ビジュアルや演出がしっかりと作り込まれた秀麗なオープニング、テンポのいいライトテイストのゲーム性など、光画堂の風味を残しつつもしっかりと流行を追った作品である。

 主人公はタイムマシンを駆使して16世紀の1月1日から1月7日まで(そして話の展開次第で別の年代にも跳ぶ)の期間を行動する。1月7日を過ぎると、時間管理局の手で強引に1月1日0時に戻されるてしまう。この繰り返しの中で情報を集め、さらわれた恋人を救い出そう。
 イベントの中には、特定の日にしか発生しないものがいくつかある。ヒントがあるものもあれば、ないものもある。プレイヤーはイベントの発生日を把握し、タイムマシンを駆使して物語を進行させなければならない。

 時間という題材では他にもゲームが出ているが、時間を主題にしたゲーム(タイムトンネル、タイムパラドックス、アグニの石、YU−NOなど)では時間の流れにとても大切な意味がある。副次的に「時間の経過」を導入しているゲーム(夢幻の心臓、ウルティマ4など)では、あくまでも味付けのひとつ(時間制限や、タイミングによるフラグ)であり、ゲーム性にそれほど影響を及ぼすものではない。
 「時空の花嫁」では『時間』の扱いは明らかに後者であるのに、ゲーム上に1月1日から7日までという明確な日付設定をしてしまって、結果、シナリオに矛盾を生じてしまった。極端な例では、1月7日に面会した人物と1月1日に普通に会話できてしまうのである。これは違和感を感じる。
 細かい話になってしまうが、具体的な細かい日付でなく(例えば曜日などで)処理すれば、それほどの違和感は残らなかったのでは?
 物語上タイムマシンが必須なのはわかるが、タイムマシンの用途は大きな年代の往来のみでよかったのでは? 

 そしてこのゲームの大いなる減点要素、それはエンカウント率の高さである。
 戦闘は単純でスピーディだが魅力に欠け、流れ作業に陥りやすい。受けるダメージはそれなりに大きい(工画堂テイスト(笑))ので、回復薬を使用する頻度も高く、二重に手間を感じてしまう。
 エンカウント率の平均値をとれば、数字はそれほど大きくないかもしれない。しかし、一歩歩くたびにエンカウントするという「偶然」が「しばしば」あるのだ。ゲームの流れで同じ場所へ移動を繰り返す必要があるため、戦闘が始まる毎に「またか!」と感じてしまうことが度々あった。
 ただ、エンカウント率が高めなことで経験値稼ぎの必要が少ないことは確かなのだが…

 減点要素は他にもある(例えばオープニングが大仰なわりに出番の少ない・・・)。また、時代の流れでRPGというジャンルにRPG性以外のものが求められるようになってきており、それらを満たすかといえば疑問が残る。
 しかしそれらは、いわば「肩透かし」をくらった結果の印象である。シンプルにゲームを見直せば完成度が低いわけではない。当時のRPGの水準は満たしている。細かいところが気になるのは、システムや操作性などの完成度が低くないせいなのだ。


以下ネタバレ注意

イベント
前半
後半

地図
城砦都市ロデラーン
マーケット
12世紀
その他 小マップ


プロジェクトEGG様より許諾済みの画像を使用しております。

戻る
戻る





アクセス解析 SEO/SEO対策